【A World for Numbers】~幼妻たちは仮想世界で嬲られ、寝取られる~ 27話 第3回パーティ戦①

『定時となりました。第3回パーティー戦のルール説明を開始します。』
『今回はフラッグ戦です。他パーティーとモンスターからパーティーフラッグを守り通してください。』
『勝利条件は以下の通りです。』
『①開始より5時間防衛達成』
『②全パーティーのフラッグ奪取』
『③指定された3か所のモンスター発生源すべてを消滅させること。』
『以上3個のうち、いずれか1個の条件を達成することが勝利条件です。』
『③が複数パーティーで達成された場合、より早く達成したパーティーが上位となります。』

『これより詳細説明です。』

『パーティーフラッグとモンスター発生源の表示について』
『すべてのパーティーフラッグはMAP上に表示され、モンスター発生源はそのパーティーに指定されたポイント以外は表示されません。』


『パーティーフラッグの奪取条件について』
『指定エリアに累計180秒滞留することで奪取成功となります。指定エリアから出た場合でも滞留時間が減算されることはなく、累計時間は他パーティーおよびモンスターと共有されることはありません。』
『指定エリアはフラッグを中心に半径3m以内、地面もしくは床に表示されています。』
『すべてのフラッグは移動不可オブジェクトです。いかなる方法を用いても移動できません。』

『モンスターについて』
『今回は発生源から湧き出したモンスターしか存在しません。』
『基本的に発生源から1番近いパーティーフラッグを襲撃します。』
『今回のパーティー戦もモンスターを討伐した際の経験値、アイテムはありません。』

『モンスター発生源について』
『モンスター発生源には、目印としてフラッグが設置されています。』
『③指定のモンスター発生源はパーティーそれぞれ異なり、1か所の発生源が複数パーティーに重複指定されることはありません。』
『パーティー戦開始時、モンスター発生源は2か所のみ表示されています。』
『2か所目のモンスター発生源を消滅させた時点で、3か所目の発生源が表示されます。』

『モンスター発生源を消滅させる方法について』
『パーティーフラッグと同様に指定エリアに滞留することで消滅します。滞留時間は300秒です。パーティーフラッグの奪取と同様に、指定エリアから出た場合でも滞留時間が減算されることありません。』
『モンスター発生源を消滅させた場合、他モンスター発生源から湧出モンスター数が増加します。』

『その他』
『パーティーメンバーが戦闘不能に陥った場合、通常ゲームと同様に規定時間が経過すると復帰可能です。但し、今回はパーティーフラッグの設置場所で自動的に復帰されます。』

『以上です。』
『パーティー戦開始1分前にパーティーメンバー全員をシステムが各パーティーフラッグ前に転送を開始します。』
『パーティー戦開始は13時を予定しています。残り時間で準備をしてください。』
『では、健闘を祈ります。』



「今回はルールが変更されましたね。」
「はい、ルールから察するとモンスター発生源3か所を消滅させるタイムアタックです。」
穂香は美桜の言葉に頷いた上で、補足した。
「守っているだけでは負ける可能性が高い上に、攻めてくるモンスターが増えるルールです。」
「転送されたら位置を…」
『定時となりました。転送を開始します。』

既に慣れたシステム転送の赤い視界がはれると僕たちの直ぐ側に東屋がある。その中央にゴルフのピンフラッグのようなものが突き立てられている。
「はあ、まったく…準備時間は無いのと同じでしたね。まず、MAPでそれぞれの位置を確認しましょう。」
「靜流!あそこに他のパーティーがみえます!」
美桜が指さす先に人影らしいものが見える。
「あちらにもいますね。」
秋鷹さんはのんびりとした口調で視線だけ向けている。
「モンスターは見えていませんし、あちらの2パーティーも今のところ、こちらに向かって移動はしていないようです。」
靜流に慌てた様子は微塵もない。
「MAP上で確認できるのは9パーティー。あちらの2パーティーよりも遠いですが、残り6パーティーよりは2か所のモンスター発生源の方が近いです。」
「穂香さん、拙のMAPにはあそこの2パーティーまでしか表示されていません。」
「MAPに拡大縮小機能がじっ…追加されています。」
「…あっ…これですね。ありがとうございます。」
「さて、今回はモンスター発生源を消滅させましょう。5時間もの防衛戦はしたくありませんし、8つのパーティーを攻めるのは面倒です。」
「靜流の言う通りです。さっさとモンスターの発生源を消して終わらせましょう。」
面倒臭そうな口調とは異なり、向こうのパーティーを見る秋鷹さんの視線は鋭い。
「モンスターの発生源は穂香と千燁に任せますので、2人で対処しなさい。」
「まあ、そうなりますよね。3人でモンスター+2パーティーとか無理そうですし………千燁、行きましょう。」
「承知しました。我主、言って参ります。」
「うん、頼んだよ。」
僕たちは森の中へ入っていく2人の背中を見送って迎撃態勢を整える。
「どのくらいの数のモンスターが来るのかが問題ですね。あとは、あちらに見えるパーティーがどのような判断をするのか、ですが…美桜様は向こうのパーティーの様子を見ながら弓で、主様は魔法攻撃で秋鷹さんを支援してください。」
「分かりました。」「うん、了解。」
「秋鷹さんは10m程度前でモンスターの数を減らしてください。私は美桜様と主様の前で専守します。」
「了解した。」



開始から40分、僕たち4人はモンスターだけを相手に戦っていた。モンスターの襲撃は全周囲ではなく前方の視界に収まる範囲に限られているので、秋鷹さんと靜流の負担は思っていたより少なく済んでいる。
「後方から私たちを攻めてくる敵はありません。」
「分かりました。美桜様は左側の雑魚を中心に数を減らしてください。」
「はい!」
僕は弦音つるねを聞きながら魔法『雷閃ライトニングボルト』の魔法準備中に青白い閃光の弾道ラインをイメージ…前方3か所から発した雷を靜流に纏わりつく複数の雑魚を経由させて後方に見えるゴブリンリーダーに収束させる。
「まだ、余裕はありますから、焦らなくて良いですよ。」
秋鷹さんは次々に迫りくるモンスターを突き倒しながら僕たちに声をかける。
僕の腰の高さで回っていた2本の緑に光る輪が重なって消えるとイメージ通りの位置に3個の光点が現れる。間髪置かずに、そのまま魔法を発動させると空気を割く渇いた音と共に青白い閃光が走り、7~9体のモンスターのすべてを霧散させる。

そして、再使用時間クールタイムを利用して後方と足元を確認しつつSP回復アイテムを使用する。
「後方にモンスターなし、他のパーティが攻めてくる様子もなし!」
これも僕と美桜の役目の一つになっている。
「分かりました。主様は雑魚が増えてから魔法を使ってください。」
「了解。」
周囲の警戒をしながらでも、美桜の姿に目が留まる。制服姿で和弓を引く姿には若干の違和感を覚えるけれど、それでも凛とした空気を纏っていて見惚れてしまいそうだ。ゲーム開始時には『所作を気にしてしまうから使わない』と言っていたけれど何か考えが変わったのか、宝箱から出た武器が『たまたま和弓だったから使っている』だけなのだろうか?

MAPを確認するとモンスターの発生源を示す2個目マークが消えた。
「2か所目の発生源が消えた!」
「流石ですね。」
「まあ、流石ではあるのですが、あの2人で消滅させられないとなると他パーティでは不可能でしょう。ゲーム内の事とは言え、そこまで理不尽な設定にはしていないということに安心しました。最後の1か所がどの辺りに現れるかが問題ですね。」
美桜の素直な感想と靜流の冷静な分析を聞きつつも、なんとなく嫌な予感がする。

周囲を警戒しつつMAPを見続けること30秒程度……
「後ろだ!向こうのパーティと僕たちの間に3か所目が出てる!」
「秋鷹さん、こちら側は任せます!美桜様は後方、私の方の支援をお願いします。」
「はい!数を減らすことを優先します。」
「主様は両方の状況を見ながらご判断ください!」
靜流はチラっとMAPを見た後、走り出す。
「了解。」
「穂香と千燁が戻ってくるまでに15分~20分程度だと思われます。それまで耐えられれば私たちの勝ちです。」
「あそこから出てくるのは昨日のダンジョンにいたモンスターと同じみたいです。ほとんどのモンスターはこちらに向かってきますが、一部はあちらのパーティに向かっています。」
美桜はそう言いながら弓を弾き絞っているけど、100m以上向こうまで届くのだろうか?そんな、僕の疑問など関係なく弦音が響く。
「やはりこの距離だと命中精度が落ちますね…」
そう言いながらも次の矢をつがえる。
「秋鷹さん、右側の数体は僕が魔法で処理します。」
振り返ったときに見えた複数のモンスターを目標に『雷閃』の魔法準備を開始する。
「了解、隼人様にお任せします。」

この『雷閃』という魔法は設定した弾道通りに稲妻が走る。稲妻の発生点は自分から1~1.5m以内で任意の場所に、弾道は上下左右を自由に設定できるのだが、自分に戻ってくるように設定はできない。弾道を設定しなければ目標物を貫通して一直線に射程限界まで効果を及ぼす。希にモンスター、目標に当たったときに放電による巻き込みダメージが発生する、ようだ。

ボス系のモンスターは見えないので、十数体の雑魚を巻き込むように弾道を設定して発動させると、空気を切り裂く音と共に青白い閃光が走り、一気にすべてのモンスターを霧散させる。
「お見事ですね、私も楽させてもらえます。」
そうは言っても、大部分のモンスターを処理している秋鷹さんが楽をしているようには見えない。
「隼人さま、昆虫系のモンスターです。こちらの対応もお願いできますか?」
「分かった。50mくらいまで近づいたら教えて。」
「はい、分かりました。」
『風弾』を1回使ったところで美桜から声がかかって、振り返ると巨大なトンボやクモが数匹見えて肌が泡立つ。その色艶、単複に関わらずその眼、上下の顎、節足、蠢く腹など…巨大な昆虫と言うのは嫌悪感や恐怖心を煽る役割としては最適だと思える。
矢が突き刺さっている個体は頭部を、まだ無傷に見える個体は羽の付け根に当たるようにイメージをして『雷閃』の魔法準備をしているうちにも美桜が放つ矢がモンスターに突き刺さっていく。発動させようとした瞬間に、目標にしていたモンスターが霧散したので咄嗟に弾道を変更する。青白い閃光が走るとトンボ2体は霧散、3体は落下、そして元々、地上にいたクモも追加効果で数秒だがスタンしてくれる。靜流から遠いところで動きを止めたクモに『風弾』を1発撃ち込んで止めを刺す。

自動回復だけでは消費に追いつかないので、回復アイテムを使用してSPを補いつつ再使用時間で足元と後方を確認する。
「隼人様、左奥にモンスターが10体近く群れていますので、処理をお願いします。」
「秋鷹さん、了解です。先頭が森から出てきてから魔法準備を始めます。」
そう言いながら、少し離れたところから単体でこちらへ向かってくるモンスターに『風弾』を撃つ。挟撃され始めてから10分も経っていないだろうけれど、ギリギリ凌げているという状態だ。あとどのくらい耐えれば良いのだろう?



「お待たせしましたぁっ!」
森の奥から薙刀を振るう小柄なメイドが姿を現した。
「秋鷹さん、あとは雑魚ばかりで数も少ないので、フラッグの真ん前で防ぎきれるはずです。」
「了解です。」
「我主、ラスト1か所を消してきます!」
「頼んだよ、千燁。」
「はい!」
疲れた様子もなく、数秒だけ僕の前で立ち止まって頭を下げて走り去る。
「千燁、穂香はどうしたのですか?」
と、その背中に靜流の声が掛けられる。
「後から来ます!終わらせてきます!」
「後からって、貴女1人では無理でしょう!?」
「多分、大丈夫です。」
「否、待ちなさい。穂香が戻ってからにしなさい。」
「分かりました。」
靜流の前で千燁が薙刀を振るい始めると、明らかにモンスターの圧が下がる。
「千燁が戻ってきただけで、これほど楽になるんですね。」
「多分、戻ってくる間も追い抜きざまに斬り捨てて来たんだろうね。」
「そうでしょうね。」
「森から来るモンスターが激減したので、私は楽になりそうです。」
千燁の言葉通り、秋鷹さんはパーティフラッグがある東屋の目の前まで戻ってきている。
「秋鷹さん、お疲れさまでした。」
「楽になったのは事実ですが、まだ終わってはいませんよ。それにしても穂香は戻ってきませんね…ところで、美桜様は残り矢に余裕はありますか?」
「はい、このパーティ戦の間は大丈夫だと思います。」

「すみません、遅れましたぁ~………」
千燁に遅れること5分程で戻って来た穂香は膝に手を突いてぐったりしている。
「遅いです…と、言いたいところですが、その様子だと千燁が早すぎたようですね。」
「はい……2か所目が終わったとき『先に行ってください』とは言いましたが、あっという間においていかれました。」
息を切らしている穂香を見るのは初めてかもしれない。
「私に先行しながらほとんどのモンスターを狩っていったようです。」

「流石に疲れているでしょう?穂香はここに残って、秋鷹さんと防衛しなさい。」
「いえ『挑発』スキルでエリア内にいる千燁を支援できますから、私の方が適任です。千燁と旦那様と私で行くのがベストです。靜流は奥様をお守りしながら、秋鷹さんと防衛にあたってください。」
「分かりました。主様にお願いしてよろしいでしょうか?」
「もちろん、良いよ。」
「旦那様、SP回復アイテムの残りは何個ですか?」
「8個使ったから、残り2個だね。」
「靜流は何個残っていますか?」
「使っていませんから、5個あります。」
「靜流の3個を旦那様に渡してください。」
「分かりました。」
靜流からアイテムを僕が受け取ったのを確認した穂香が出発を促す。
「では、参りましょう。旦那様、よろしくお願いいたします。」



千燁は速足で歩みを止めることなく器用に薙刀を振り回し、モンスターを霧散させながら進み続ける。当然、届かない高さを飛ぶトンボなどはどうしようもないけれど、ジャンプして届くようなら一振りで真っ二つ、もしくは頭部が落ちる。僕たちをやり過してパーティフラッグに向かえるモンスターは半分くらいだろうか。
「発生源の指定エリアにプレイヤーが入ると湧き出すモンスターの数が増えます。私は発生源から10m程離れた場所で、千燁が倒せなかったモンスターを『挑発』で引き寄せます。旦那様は私の後方10~15mくらいの位置から魔法でまとめて倒してください。」
「分かった。」
「千燁、前回のパーティ戦と同様に倒せないイベント用モンスターが出るかもしれません。無理に倒す必要はありませんから、その場合は私の方へ、可能なら他パーティの方へ流してしまってください。それと余裕が有り余ってる場合だけ、反対側のモンスターを処理してください。」
「承知しました。」
「穂香、モンスターを他パーティに押し付けるようなことして良いの?」
「まあ、通常のレベリング中でしたら迷惑行為になるでしょうけれど、現在はパーティ戦ですから、作戦としては有りと判断します。」
「そうなんだね…」
「旦那様としては納得できない行為ですか?」
「いや、作戦としては納得できるよ。ただ、ゲームのマナーとしてはどうなのかな?って思ったんだ。」
「発生源を消滅させても、先程は出現したモンスターは残っていましたから、クリアした私たちが居なくなってしまえば、他パーティへ向かうことになるでしょう。ですから、結果は変わらないと思います。」
「なるほど…そうかもね。」
「我主、穂香さん、目標まで50m程です。」
「了解、始めましょう。」
「承知。では、参ります!」
千燁は周囲のモンスターを蹴散らしたタイミングで支援魔法を自らに掛けてから、猛然とフラッグへ向けて突っ込んでいく。

視界の左上でカウントダウンが始まった。残り296…そして、フラッグから湧き出る大小様々な昆虫型モンスターの数が一気に増えた。それまでは何となく数えることが出来ていたけど、今は無理だ…それを見た穂香のボヤキが聞こえる。
「うっ…わぁ……酷い。クリアさせる気があるのか疑うなぁ………」
それでも千燁はモンスター発生源のフラッグエリアから1歩も出ずに、舞うようにスカートをはためかせ円転自在に白刃を躍らせる。しかし、その刃が届かなかったモンスターの一部は千燁に襲い掛かり、一部はパーティフラッグ目掛けて飛び出していく。

”カン!カン!!”

剣の柄頭で盾を叩く音と同時に穂香から波状の演出スキルエフェクトが放たれると、発生源の向こう側にいるモンスターまで進行方向が一斉に変わる。
「ゔあ゙っ!?………」
美少女の口から発せられたらいけない音が聞こえた気がした…が、気を取り直して『雷閃』の準備を開始する。ここからなら、発生源を通過して反対側を撃ち抜くようにも設定できるのだけど、千燁に襲い掛かる可能性があるモンスターを優先して狙う。ただ、数が多すぎて正確には狙えないので、屈折点を多めに設定して巻き込む数が多くなることを願い発動させる。
「っ!………」
一瞬、視界が白く染まった。しかし、穂香はそれを気にした様子もなく、スタンしてボタボタと落下したトンボの後頚部に手際よく剣を突き立てて止めを刺していく。
「旦那様、3mくらい下がります!」
「了解!」
穂香に合わせて位置取りを変える。

カウントダウンは途切れることなく続き、湧き出るモンスターの数は時間の経過とともに増えている。何回目かの青白い閃光が走ると霧散しなかったモンスターはボタボタと落下し、その度に穂香が止めを刺していくのだけど、すべては倒しきれなくなっている。
「あっ!…」
と、思わず声が出てしまう。千燁の足が止まった瞬間にHPバーが一気に半分近くまで減ってしまう。しかし、1秒にも満たない短い時間で穂香の腰の周りで2つの黄色く光る輪が合わさると、減ったHPがすべて回復する。それでも安心できる状況にはならない…倒しきれなかったモンスターが穂香に纏わりつくと、じりじりとHPが減っていく。
「私は大丈夫です!」
確実に倒せる1体を目標に『風弾』を使用する。
「主様、慌てずに数を減らしてください。」
「靜流!?」
その声に驚いて横を見ると靜流が魔法準備をしている。腰の高さで回る青い円は3本、高Lvの魔法を使おうとしているのが分かる。靜流が魔法を発動させると穂香を淡い光が包み込み、HPの減少が緩やかになる。
「美桜と秋鷹さんは?」
「フラッグを守ってもらっています。モンスターはぽつりぽつりとくる程度なので、こちらの支援に来ました。」
確かに、ほとんどのモンスターは穂香の『挑発』に引き寄せられていた。

穂香と千燁、そしてモンスターの発生源の周囲を舐めるように『雷閃』の弾道を設定して発動させる。再使用時間が終われば、また直ぐに準備を開始する必要がある。湧き出すモンスターが多すぎて、その攻撃を避けきれずにダメージを受けながら千燁は窮屈そうに薙刀を振るっている。靜流がこちらの援護に来てくれなければ、持ち堪えられなかっただろう。
「あと30秒です!私もエリア内に入ります!」
穂香は武器を持ち替えて指定エリアを目指して走り出し、その背中を追い越して行き先を示すように青白い閃光が突き抜ける。

フラッグを挟んだ2か所で極彩色の塊が蠢き、それを切り開く白い軌跡が現れては消えて行く。
2人を援護する『雷閃』は再使用時間中、『風弾』は目標を見定められず使用出来ない。確実に減り続ける穂香と、数秒おきにざっくりと削られる千燁のHP。僕は回復アイテムを握り締めて見ていることしか出来ない。あと10、9、8…
2人のHPが一気に削られたのを見た僕は慌てて『縺��繧�のたまご』を使用する。

3、2、1………

『3か所すべてのモンスター発生源の消滅を確認しました。』
『勝利条件を達成しました。』
そのアナウンスを聞いた直後に僕たちは待合室に転送されていた。
『順位は1位です。現時点までに脱落したパーティーはありません。』
『本日のパーティー戦報酬は明日11:00以降にログインした際に受け取り可能です。』
『【A World for Numbers】のフィールドおよびダンジョンで活動する場合は、ログアウト後に再ログインしてください。』
ぐったりしている穂香と千燁。
「しばらく、虫は見たくありません…」
「まったくもって同感です。」
「お疲れさま。」
「二人ともご苦労様でした。」
「それでは、私たちはログアウトしましょう。」
「靜流、千燁をお借りしたいのです。」
「何故ですか?」
「本日のパーティー戦は想定以上に早く終えることができました。ですので、周辺を探索して、別のダンジョンを探しておきたいのです。」
「分かりました。16:30までには戻ってきなさい。」
「はい、分かりました。千燁、お願いします。」
「承知しました。」
「僕は予定通り、観戦してみるよ。」

前回のパーティー戦が終わったときに、ログアウトボタンから離れたところに『観戦』と『介入』というメニューが表示されていることに気が付いた。敵情視察が出来れば今後のプラスになるとはずと、予定に入れていたのだ。

皆がログアウトしていく中、僕だけは観戦をタップする。



以下、駄文—–
魔法『雷閃ライトニングボルト』について
習得Lv3で2本目、Lv5で3本目と発生する雷閃の本数が増えます。
魔法準備中にイメージした弾道ラインが視界内に点線として表示されますが、その際、モンスターなどを経由点として弾道を結んでいくことはできません。上下左右を自由に設定できますが、距離感を正確に掴めないと当てることが難しい仕様になっています。
ワールドトリガーをご存じの方なら、自分の方に戻ってこれないけど、超高速で回避・防御不可能な「変化弾バイパー」とみたいなものと想像していただけると分かりやすいかもしれません。


来週も恐らく更新できません。できたら良いなぁ…

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