元上司に協力してもらって 1/6

ある日の仕事帰り、私はある人に呼び出されて駅前の居酒屋に向かっていた。その人に会うのは半年振りくらいだったが少し憂鬱な気持ちがあった。約束した時間に居酒屋に入るとその人はすでにビールを飲んで待っている。


私「ご無沙汰してます。」

男「おお、久しぶりー。まあ座りなよ。」

その人は『浩二さん』45歳。私が勤めているインテリア関係の会社のかつての上司だ。今は独立し輸入雑貨の店を経営していて、会うのは店のオープンの手伝いをした時以来だ。席に着き、頼んでいたビールがきて軽く乾杯する。

浩二「お疲れさん、最近仕事はどうだ?」

私「こっちは相変わらずですよ。浩二さんこそお店うまくいってますか?」

他愛もない会話が続き2杯目のジョッキが空いたころだったか浩二さんが本題に入る。

浩二「そういえばさ、結子に会ったんだって?」

今日呼び出されたのはこのことを聞くためだろうとわかっていた。ここに来るのが憂鬱だったのはこの話題になるのを恐れていたからだ。数日前の仕事帰り、同僚と久しぶりに酒を交わした帰りの駅のホームで電車を待っていた時に向かいホームにいたのが浩二さんの奥さん『結子さん』だった。

結子さんはたしか37歳くらいで浩二さんのショップのオープンの手伝いをした時に話したことがあったし、女優の笛木優子さんに似ていてとても綺麗な人だからよく覚えていた。ホームで結子さんに気づいて手を振ろうとしたけどすぐ目を逸らされてしまって(あれ?)と思ったがその理由はすぐ分かった。恋人のように腕を組む浩二さんではない男が隣にいたからだ。

(見ちゃいけないもの見ちゃったな…。)

私はその事を浩二さんに報告すべきか悩んだが余計な事はすまいと胸にしまっておくことにした。

『話したいことがある』と呼び出されたとき

「何故教えてくれなかったんだ」と怒られるのではと思った。


私「いやぁ、まあ、あの、どうだったかな?結子さんに似てたような気もしますけどよく分からなくて…。」

急にこの話題を振られたので焦ってしまいしどろもどろでそう答えたものの、私をじっと見る浩二さんの圧力に負けて、私は「すみません。ちゃんと浩二さんに報告するべきでした。」と謝った。

すると浩二さんは少し笑いながら、

「いやいや、別にそういうつもりじゃないんだよ笑 むしろ謝らなきゃいけないのはこっちなんだ。」

私「???どういうことですか?」

浩二「うーん、どう言ったらいいのかな…。俺たち夫婦の遊びっていうか。結子が浮気してる訳じゃないんだよ。」

私「はぁ」

浩二「いわゆる貸し出しプレイってやつだ。おまえが見たとき隣にいた男がその相手。」

私「えぇっ!まじですか?」

聞くと30代の頃から相互鑑賞、スワッピング、貸し出しなどをやっていて、私が結子さんを見かけた日もプレイをして帰る途中だったらしい。

浩二「おまえが色々気にしてるだろうからって結子が言うもんだから一応説明しておこうと思ってな。だから気にするなよ。うちは夫婦円満だから。」

私「夫婦円満…ですか。」

浩二「なかなか理解してもらえないだろうけど俺は結子を愛してるし結子も同じだ。じゃないとこんなこと出来ないからな。」

私「アブノーマルなことしてるんですね。そもそも結子さんは嫌がってたりしないんですか?」

浩二「駅で見たんだろ?嫌がってるように見えたか?証拠もあるぞ」

そういってスマホの画面を見せてくる。アップになっていて誰のものかは分からないがイキリ立った男のモノを咥える結子さんが写っている。

私「ちょっと!こんなの見せちゃっていいんですか?」

元々結子さんは大人の妖艶さがある人だが駅で見た時は男に寄り添ってエロいオーラが出ていた気がする。なにより画像の結子さんは嬉しそうにも見えた。


そして浩二さんが続ける。

浩二「そもそもきっかけはあいつの浮気だからな。」

今日は何回驚かされるのだろう。よく知っている上司の奥さんが浮気をしてる…。

浩二「問い詰めて色々話を聞いてるうちになんか妙な感情になってきたんだよ。こいつは他の男とやってるときどんな表情してるのか…。なんて考えてたら気づいたら勃起しててな笑。おまえも奥さんの浮気話でも聞いてみたら少しは理解できるかもしれないぞ?」

私「いや絶対許せないだけですよ!」

浩二「そうかな?俺は嫁のことなら過去の男の事とか浮気相手のことでも全部知っていたいんだよ。」

私「そもそもうちは浮気なんてしてないですから。」

浩二「そうか?わかんないぞ〜。俺だって結子が浮気してるとは思わなかったからな。麻琴ちゃんとうちのってなんとなく似てるし。」

『なんとなく似てる』?


麻琴は私の2つ下で28歳。職場恋愛で妻が24歳の時付き合い始め結婚2年目、今は退職して専業主婦をしている。妻にとっても浩二さんは元上司ということになる。目がくりっと大きくて、女子アナの田中瞳に似ていると言われた事がある可愛い系で結子さんと違って妖艶さはあまりないと思う。逆に明るくて人当たりがいいので幼く見られる性には奥手で結子さんとはむしろ逆のタイプだ。

私「結子さんとうちのが似てるタイプですか?」

浩二「なんとなくミステリアスっていうか本当の自分を晒さない感じにみえるんだよ。あまり自分のこと進んで話すタイプじゃないだろ?」

たしかに…。よくよく考えれば出会う前の事は私がそんなに聞かないっていうのもあるがあまり自分からは話さないかもしれない。

浩二「その顔は思い当たる節があるな~?」

私「いや、まあ無くはないかもしれないてすけど、でも浮気とかないですよ。」

浩二「だといいけどな。」

私「なんすかその気になる言い方!」

浩二「おまえが気にするとあれかと思って黙ってたんだけどいい機会だし…。」

私「えっ…、なんかあるんですか?」

浩二さんは少し悩みながら話出した


浩二「三井っていただろ。」

私「ああ、三井さん。デザイン部にいた人ですよね。今は他の会社に移ったみたいですけど。」

浩二「もう結構前だけどデザイン部の連中と飲みに行ったんだよ。その時三井がな、『俺は麻琴とヤッたんだ』って吹聴してて俺は麻琴ちゃんがお前と付き合ってんの知ってたし他の奴らも酔っ払って嘘ついてんだろって感じだったけどな。」

私「はぁ?マジですか?あいつふざけてんなぁ…。絶対嘘ですよそんなの。だって麻琴、三井さんのことガサツで嫌いなタイプって言ってましたから。」

浩二「そうか、それならいいんだ。変な事言って悪かった。この話は終わりにしよう。」

その後は仕事とか普通の話をしたと思うけどあまり覚えていない。


浩二さんと別れて帰りの道中、三井のことを考えていた。私は違う部署なのでほとんど彼と接点はなかったがデザイン部のやり手と噂だったし誰にでもデカい声で話しかける人なので存在はよく知っている。特に女性社員には馴れ馴れしくて麻琴と話しているのも見かけた事がある。もしかしたら三井は麻琴に惚れていたのだろうか。俺と付き合ってるのが気に入らなくて適当な事を吹聴していたのかもしれない。浩二さんに話した通り麻琴は

『こっちが急いでてても気にしないで話しかけて来るしなんかヤダ』と

ボヤいていたし三井は言っちゃ悪いがあまりルックスも良くない。正直辞めてくれてホッとしていた。

そんな男と浮気なんてありえないよな…。

でももし本当だったら…。

妻と三井が交わってる所を想像してしまう。

強引にヤラれたんだろうか…

それとも麻琴から?

実は今も続いてるんじゃないか…?


私は帰宅ラッシュで満員の電車の中で勃起してしまっていた。ハッと我に返り股間をバッグで隠し、妙な性癖と三井の話を持ち出した浩二さんを恨んだ。

(モヤモヤしてても仕方ないな。帰ったら直接聞いてみよう。)

そう心に決めて家路に向かった。


麻琴「おかえりー。浩二さん元気してた?」

私「ただいま、うん、元気そうだった。店もようやく軌道に乗ってきてるみたいだよ。」

結子さんの件は妻には話してないので今日どんな会話をしていたのかは知らないしもちろん言うつもりもない

私「そういえばさ、うちの会社の三井さんって覚えてる?」

少し唐突だったか?でも頭の中がそのことで一杯だった私は聞かずはいれなかった。

麻琴「三井さん?うん分かるよ。デザイン部の人だよね。辞めたんじゃなかったっけ?それがどうしたの?」

とくに動揺した様子もない。

私「浩二さんが前に飲んだことあるらしいんだけどその時麻琴の話題が出たんだって。」

麻琴「へぇそうなんだ。」

私「三井さんがあの子可愛いくていい子だって褒めてたらしいよ。結構話したことあるの?」

麻琴「まああの人って誰にでも話しかけるからね。そんなことより今日お義母さんから電話きてね。………」

話を強制終了されてしまった。(……これは『何か』あるかもな……)妻はいつも喧嘩した時とか都合の悪い時にあまり人の目を見ずに話を逸らそうとする。でも『何か』が怖くてそれ以上聞けなかった。

『じゃあ俺が聞き出してみようか?』

前に久しぶりに酒を交わしてからひと月、私は浩二さんを同じ居酒屋の呼び出していた。


私「えっ?」

浩二「だから、お前が聞けないなら俺が聞きだしてみるってこと。」

結局妻に三井の事を聞き出せなかった私は浩二さんに相談していたのだ。

浩二「どうしても聞きたいんだろ?」

私「まあそうなんですけど…。」

浩二「後悔しないか?もし本当に浮気してたとしたらどうするつもりなんだ?」

私「妻のことなら全部知っておきたいって言ったのは浩二さんじゃないですか。」

浩二「それはそうだけど…もしかしてお前も麻琴ちゃんを誰かに抱かせたいとか?」

私「いやそこまでじゃないけど、麻琴と三井の事考えると堪らなくなっちゃってて…。」

浩二「よしわかった、そこまで覚悟があるなら任せてみろよ。」

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