なかなかデートにも誘ってくれないし、わたしから予定を聞き出したのが2回、その後、やっと1回誘ってくれた。
デート中何だか、ずーっとキョドってると思ったら手を繋ぎたいだけだったみたいなんだよね。私から手を繋いだらほっとした顔してたなぁ………。はぁ〜っ……腕組んだり、キスしたり、セ………ゲフンゲフン…何時になるんだろう?
サークルに顔を出すと二宮先輩が暇そうにしているところに遭遇した。
「こんにちは、お疲れ様です。」
「おぉ〜っ、あやちぃ!よく来た!暇で死にそうだったよ。」
死にそうって大袈裟過ぎるなぁ。
「じゃあ、何しますか?」
「あやちはさ、ブルアカやってる?」
「ちょこっとなら。」
「詳しい?」
「いえ、ちょこっとです。」
始めたばかりなのかな?
「そーかぁー…やっぱりてっつんか、やっ君に頼るしかないのか、あんがとさん。」
「いえ、お役に立てなくてすみません。」
「いやいや、気にしないで。んでさ、ブルアカは関係ないんだけど…あやちは同人は描くの?」
「読むだけです、絵は下手なので。」
「そか、コスはする?見る専?」
どうしよう、正直に答えるか、隠しちゃうか…
「えーーっと、お遊び程度の感じで……」
「おぉ〜っ!」
「こんちは、お疲れっす。」
あ、青柳先輩だ。
「こんにちは、お疲れ様です。」
「よ、乙~。」
二宮先輩は青柳先輩の扱いが雑な感じがするな。
「そかそか…」
「ユーコ先輩、どうかしましたか?」
「衣装は自作するの?」
「それほど器用じゃないので、既製品をカスタムする予定です。」
カスタムもそれほど上手くできないけど…
「そかそか…そ~か~、あたしに衣装作らせてくれない?去年までは先輩の衣装を作ってたんだだけどさ、【もう引退、今年からコス参加しないんだ】って言われてさぁ~。」
凄い、コスチューム作れるんだ。
「はい…でも、そんなにお金かけられないですよ?」
「既製品買って、カスタムするなら、それなりの出費だよね?それを使えば良くない?足りなければ、あたしも少し出すしさ、ダメかな?」
「う~ん…」
お金のこともあるし、サークル入ったばっかりのわたしが、そんなことしてもらって良いのかな?
「あやち、これ見て、去年の写真。どう?」
「えっと…あの、本格的過ぎるんですけど。
こんなのお願いしてもお金が、、」
「タイジョブ、大丈夫!あたしの趣味も兼ねてるから、少し出すし、あやちがコスするなら、スポンサーが付くよ。」
「スポンサー?」
スポンサーって…そんな人居ないよね?
「そそ、ちょっと写真撮らせてやれば、てっつんとやっ君が出してくれる。キャラによっては全額出すかもよ?」
聞いたことない名前だ、誰だろう?
「てっつん?やっ君?て誰ですか?」
「猫飼と辻だよ。」
「あっ、あぁ。でも…」
「てっつんは出すよ、あやちがコスするなら見たいって言ってた。」
出すよって簡単に言うけど、そんなに仲良くなってない先輩にお金出して貰うなんてできないよー!
「うっすぅ!おひさ。やぎ、近藤ちゃん…えっと、お前、誰だっけ?」
「こんちは、犬飼ってない先輩。」
「こんにちは、猫飼先輩、お久しぶりです。」
「帰れ!今すぐ、帰れ!!」
猫飼先輩を蹴って、叩いて追い出そうとするユーコ先輩だけど、戯れ合っているようにしか見えない。
「痛ってえって。加減をしろ、加減を。」
「ぁたっく…もう。許してやるから金出して。」
ユーコ先輩は右手をひらひらと差し出す。
「はぁ?出さねぇよ。」
「あやちがコスするっていうから、コス作製費用を出せ。」
「お!マジか!?それを先に言え。じゃあ、2万出す、ほれ。」
財布から事も無げに取り出した一万円札を2枚も差し出している。
「えっ!?あっ、ちょ、待って…待って下さい。まだ、何をやるか言ってないですよ!そんな何も聞かずに2万円も出しちゃダメです。」
「ん?良いよ。近藤ちゃんがコスするんでしょ?お披露目前に俺に見せてくれればオッケーだよ。」
「よっ!太っ腹スポンサー様。」
「ヨーコはしっかり衣装作れよな。」
「ヨーコじゃねえ!」
膝蹴りがクリーンヒットする。
「だから、痛てぇって!まあ、もう、良いわ。俺は入稿終わるまで、来ねえから。それだけ言いに寄ったんだ。
近藤ちゃん、コス楽しみにしてるね。
ほんじゃね~。」
えっ?帰っちゃった!?えぇぇぇー〜ー〜ーっっ!!??
「犬飼ってない先輩が今年は何描くか聞いてます?」
「聞いてないけど、ブルアカじゃね?限定とか、実装とか、イベ効率とかって、やっ君と話してるし。」
ブルアカかぁ…やっぱり人気だよねー、ブルアカでコスするとしたら、誰にしようかな?
「ブルアカのコスは考えてるんですけど、どうしようかなぁ。銃なんて持ってないし…」
「てっつんに追加費用出させるのもアリだけどな。衣装と小道具で分かるキャラにしたら?」
「いや、これ以上出して貰うのは…小道具で、う~ん…」
「あやちがブルアカのキャラコスしたら、てっつんもやっ君も大喜びするぞ。
小柄で、ひんぬーちゃんだね。誰が良いかなぁ。」
「ひん…」
確かに胸は小さいけど…
「ん?あやちはおっぱい?ちっぱい?」
あうあうあぁ〜、そんな聞かなくても分かると思うのに……
「ちっぱいですぅ…」
「だよね?あやち、貧乳はステータスだよ!希少価値だよ?」
「え?」
ステータス?希少価値?
「あたしが把握してるキャラだと、ホシノ、ジュンコ、ココナ、ヒカリ、ノゾミ…え〜っと、ムツキ…」
「あとは、コハル、チェリノ、イロハ、ヒナ…」
あと誰が居たっけな?
「あやちがコスしたいキャラは居るの?」
「やりたいというか、候補はあるんですけど、まだ絞れてないです。」
「そかそか、まあ何にせよ、あやちがやりたいってのが優先事項だな。」
「帰って、立ち絵とか見て考えます。」
お金出して貰っちゃったし、真剣に選ばないとね。
「おっけー!いつでも相談にのるよ。おっつかれー!」
「はい、お先に失礼しますね。お疲れ様です。」
公式だけじゃなくてファンアとかも見直そう…そうだ、ゴマ団子さんのイラストも見直そう。
う〜〜ん………やりたいのはホシノ、ジュンコ、コハルだけど、パッと見で分かってもらえそうなのは、ホシノかコハルだよなぁ。ホシノだとカラコンが2色必要だし、コハルだと羽がなぁ…でも、ゴマ団子さんのイラスト見るとコハルやりたくなるんだよねー。
あぁっ!ムツキとココナのイラストが増えてる!ムツキも良いよなぁ、ココナも可愛いし…もうっ!候補が増やされる!
あ、カフェのAPとか回収しなきゃ。先にお風呂とご飯かな…
青柳先輩からLINE来てた。
『ばんは~、コスの候補はどう?』
取り敢えず、決まってないって返しとこ。
『まだ、決まってないです。候補はあるんですけど。』
う〜〜あ〜〜、決められない!どーしよーーっ?!ユーコ先輩に聞いてみようかな?いや、でも、わたしが良いと思うやつって言われそうだな、でもなー、1人でイラスト見てると、迷ってばっかりだ。
『ユーコ先輩、迷ってます!』
『コハルとジュンコとホシノ』
『誰が似合いそうですか?』
送っちゃったけど、大丈夫だよね…
『あたしはホシノで』
『あやちのちっぱいを強調して見せつけて欲しい』
んぅっ!!
『嫌です!”』
『ホシノはやりません!』
『今、候補から消えました!』
あぁっ、勢いに任せて送っちゃったけどいいや、そういえばホシノは胸の下に紐があったな…あれってなんのためにあるんだろ?
『てっつんに聞いてみれば?』
って言われても、聞けないよー!
『原稿かいたり』
『ブルアカ攻略とか』
『忙しい先輩に』
『聞けないです』
さて、本当にどーしよ?
『明後日に時間取れるって』
ん?どーゆーこと?
『何がです?』
『てっつんが時間合わせて』
『相談乗るって』
えぇーーーっっ!!??
『そんな、ダメです!』
『忙しいのに!』
『もう、決まったし』
『スポンサーだし、聞いてみ?』
あー、も〜〜っ!あぁっ!
『明後日の3時過ぎならオッケーだってさ』
もう〜っ!決まっちゃったよ…あああぁぁぁ〜〜
「あの、ここが猫飼先輩の家ですか?」
一軒家だ………実家なのかな?
「そーだよ。入るよー。」
インターホンを押さずに玄関開けようとしてる?!と、思ったら固まった?
「あぁっ!?鍵かかってる…」
「普通、鍵かけてると思いますよ?」
「てっつんのくせに、鍵かけるとか」
「そりゃ〜、出かけるときは鍵かけるだろ。」
後ろから突然、聞こえた声にびくっとしてしまった。けど、スッと挨拶だけはできた。
「こんにちは。」
「よっ、近藤ちゃん。」
「どこ行ってたんだよー?」
「大学だよ、お前と違って研究とか実験とかとか、忙しいんだよ。あ、近藤ちゃんは気にしなくて良いからな。」
「あのっ…忙しいのに、本当にゴメンナサイ。」
「良いよ、良いよ。大丈夫、近藤ちゃんのコス見たいし、入れ、入れ〜。」
玄関を開けると2匹の黒猫さんがお座りして待っていた。
猫飼先輩は猫さんのご飯と水を用意して、トイレ掃除をしながら、あくびをしている。
「で、コスで何か迷ってるって?」
「そうそう。誰にしようか、決められないってさ。」
「そうなんです。ホシノか、コハルか、ジュンコか……今の候補です。」
「ほぉ〜、ちょっと待ってな…」
トントントンッと階段を上がっていく先輩のあとをご飯を食べていた2匹の猫さんが慌てて追いかけていった。
「あの猫さんたち、猫飼先輩のこと大好きなんですね。」
「あいつらは近所の人が拾ってきたんだけど、飼えないって困ってたのを引き取ったんだとさ。」
「そうなんですか。」
「あいつの実家には3匹いるから、世話は慣れてるし、こっち来てから1人で寂しかったんじゃね?」
「おまたせ、参考になるかは分からんが、とりあえずイラストとか資料な。」
バサッとテーブルに投げ出されたイラストはわたしがよく目にしているものだった。
「へゎっ……ゴマ団子さんのイラストだ!」
変な声が出た、恥ずかしい。
「ん?この絵?なんかすごいの?」
ユーコ先輩は知らないのかな?
「散見茶屋のゴマ団子さんですよ、同人作家で…」
「それは知ってる、コイツだよ?」
指差す先には当然、猫飼先輩しかいない。
「へぁっ!?あっ…え?」
頭は真っ白………
「こいつの絵、好きなの?」
「はいぃっ!!大ファンです!」
「良かったなぁ、てっつん。こんなロリかわちゃんが大ファンだってさ。」
「そんなら、ボツにして投稿してないヤツでもよければ、あとで印刷したやつ持って帰りなよ。」
「えっ!?あ?……えと、良いんですか。」
「良いよ、配布とか、公開とかしなけりゃ。」
「あ、あり、あ、ありがとうございます!」
メチャクチヤ噛んだぁっ!恥ずかしい!!
「あはは、そんだけ喜んでくれりゃ、俺も嬉しいわ。んで、とりあえず、おじさん、ズンコ、コハルのイラストは資料になるか?」
「なります!なります!」
「まあ、誰をやるにしても特徴捉えないとただの制服コスになるからな。ホシノなんか銃と盾持たないと、ただのピンク髪、アホ毛ロリになりそうだしな。」
「そうですね…おっきい装備品とか持って行くのも、現地で持ってるだけでも大変そうですね。」
「あたしは衣装作りたいだけたから、こだわりはないよ。できれば可愛いヤツが良いけどね。」
「で、候補はその3人だけなのか?」
「他にコスできそうな生徒が思いつかなくて…」
「どういう基準で選んでる?好きな生徒?」
「えっと、小柄で」
「ちっぱいちゃんな」
横からユーコさんが被る勢いで追加してきた。
「ん?小柄は分かるけど、乳の大きさは関係なくね?」
「でも、わたしの」
「あやちはちっぱいだからな。」
また、横から…
「む〜…そうゆうことです。」
「足りないなら盛れば良くね?」
「あぁ、そうか、そうだね。」
「………」
その考えが浮かばなかった。
「髪はウイッグ、乳は足りなければ盛れば良いから、好きな生徒をやれば?」
「そうですね。」
「クオリティに拘るとかなら、身長だけは近い生徒にすれば良いだろ?近藤ちゃんは何センチ?」
「144cmです…」
「あやち可愛いね〜、そか、150なかったのか。」
「ちょっと踵が高い靴を選んで履いてるので………」
145センチもないのがバレちゃった…
「プラマイ5センチくらいで考えれば20人くらいは候補にできるはずだな。」
「結構、多いな。寄鳥味鳥じゃね?」
「近藤ちゃんの候補が増えるかは別だけどな。」
「追加できそうな候補って誰でしょうか?」
「誰ってことはないな、近藤ちゃんが好きな生徒を選べば良い。まあ、ココナ、ミドモモ、フブキあたりは良いんじゃないかと思う。」
「ほー、じゃあ候補ってとこは放っといて、てっつんが見たいのは?」
「コハル、フブキ、ムツキかな?」
「おま…候補に入れてないキャラ出すなよ。でも、ムツキは可愛いな。」
「ムツキは考えたんですけど、他の人もやりそうだし、銃とカバンが大きくて…」
「だな、それにロングのサイドテールが大変そうだ。」
「急いで結論出さなくても良いだろ。近藤ちゃんが好きな生徒を選びな。」
「はい、ありがとうございます。」
「打ち合わせとかって、ココで良いよな?」
「好きに使え。」
「じゃあ、鍵貸して。」
「なんで?」
「衣装縫ったり、仮合わせとかさ、てっつんが居ないと入れないとか不便じゃん。」 「おま……まあ、しょーがねえな。」
猫飼先輩、大好きなゴマ団子さんの大量のイラストをお土産にもらってこの日は終わった。
それにしてもユーコ先輩と猫飼先輩って凄く仲良かったな…見せ付けられた気がする。わたしも青柳先輩とあんなふうになれるかな?

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