2人だけの秘密 (綾視点) 5話

あの後、青柳先輩からユーコ先輩には何のリアクションもなかったそうだ。メッセージも、通話もしたのにわたしも何も聞かれなかった…何してても気にならないのかな?興味ないのかな?ユーコ先輩、猫飼先輩、氷見先輩たちがわたしのコスにすっごく力を入れてくれてるから、そんなこと忘れるくらい楽しい時間が過ごせるよね?って思ってたら本当に青柳先輩の事が頭からスッパリ消え去って夏コミを楽しく過ごしていた。


「おっっつかれ~!!」

「「「乙です!!」」」

コスプレも先輩のお手伝いも楽しかったな、改めてお礼しなくちゃダメだよね。

「みんな飲み物持ったか?未成年は酒飲むなよ~?」

「おけー」

「きてま~す。」

「おし、手伝いありがとな!今日は俺とヤスの奢りだ!遠慮なく食え~。ヤス、音頭取れ!」

「ボク?」

「やれ!」

「分かった、それじゃ、カンパイ!」

「「「カンパ~イ!」」」

コミケが終わった2日後、猫飼先輩の家で飲み会が開かれている。

「ヤギ、幾らだった?」

「えっと、全部で良いんすか?」

「当たり前だろ。」

「てっつん、あたしの方は3枚だ。」

「ん?そんなに行ったか?」

「指定されたサークル全部回ったんだから駄賃よこせよ~。」

「分かった、分かった、3枚な。ヤギはどうだ?大体で多めに言っとけ。」

「えーと、それじゃ、18Kで。」

「うい、2枚な。多めで言っとけっつったろ。悪かったな、先に金渡せなくて。」

「あ、はい。ありがとうす、いただきます。」

「あやちは大人気だったな。あたしの衣装のお陰だよなぁ!」

なんかすごい人数に囲まれちゃったんだよね…

「ありがとうございます!本当にユーコ先輩のお陰です。」

「素材が良いから人気出たんだろう?」

「あそこのさ~、、」

「「「・・!・・・!」」」

大学生活がこんなに楽しくなるなんて、このサークルに入って本当に良かったな。


「ここって、誰の家なんすか?」

「なんだヤギはてっつんの家に来たことなかったのか。」

「犬飼ってない先輩の家?一戸建てじゃないすか!」

「叔父さんから借りてるだけだ。俺の持ち家な訳ないだろ。」

あ、ゴマ様だ。

「ゴマ様、おいで、おいで~。」

しっぽピーン!ってこっちに歩いてるよ。床をトントンしてたらわたしの処に来てくれるかな?

「行っちゃった……」

目の前を通り過ぎたゴマ様は猫飼先輩の脚に頭をグリグリ押し付けて好き好きってしてる、良いなぁ〜。あ〜あ、ゴマ様、先輩の膝の上で丸くなっちゃったよ。

「ヤス、外に出てあげて、ピザ屋が家の場所が分からんて。」

「うーす、分かった。」

「猫飼先輩、ゴマ様撫でて良いですか?」

「良いよ。」

「やった。」

ゴマ様を撫でると、ちらっとわたしを見ただけで直ぐ丸くなっちゃた。嫌がってないみたいだから、ちょっとの間触らせて貰おうっと。

「ん~、ヤギっち…」

「宇野さん、なんすか?」

「あやちのことそんなに気になるなら、告っちゃえヨー。」

「えっと、いや~……。」

「彼氏いないっぽいし、早い者勝ちだヨ?」

宇野先輩も援護してくれてるのかな?

「まあー、後悔するなヨー?」


「どれ良い?女の子から選んでって。」

「おー、流石ヤス、女の子に優しいな。」

「だろー?」

「そーだ、集まってるついでに、聞いとく。恒例の旅行に不参加のヤツいるか?」

恒例の旅行?

「ユーコ先輩が幹事やるんすか?」

「誰もやらねーからだろ。ヤギ、お前がやるか?」

「あ~、いや~、僕はお金預かるとか、無理っす。」

「ついでに、こんなかで彼氏、彼女、その他パートナーがいるヤツ挙手!」

「その他ってなんだよ?」

「何でも良いだろ、嫁とか、ご主人様とか、色々あるだろ?」

「俺はいつも通り不参加な、ゴマ様と団子ちゃんがいるからな。」

「彼女とか聞く必要あるか?なぁ、やぎ。」

「ん、あ、まあ、そうすね。」

「なんだ、ヤギ、彼女できたか?」

「い、いや、そーゆー訳では…」

やっぱり、わたしのことを彼女って言ってくれないんだ…

「サークルで遊びに行くったって、泊まり掛けだし、男も女もいるからな。ちゃんと話しつけとけよ?」

「あちし彼氏いるよー。」

「わたしもー。」

宇野先輩も佐伯先輩も彼氏いるって言えるの羨ましいな。

「うわっ、マジ?2人とも彼氏いるんだ。」

「あちしらは推しと現実はちゃんと区別してるよ?」

「やぎ、ボクらの嫁は恥ずかしがり屋だから出てこれないもんな。」

「まあー、そっすね~。」

青柳先輩への視線が冷たくなっていくのがわかる。

「あやちは彼氏いないの?」

「いない、と思います。」

猫飼先輩が助け舟を出してくれてるけど、肝心の青柳先輩は何も感じないのか、まったく反応がない。

「「思います?」」

「そーなの?そんじゃぁさ、俺の彼女になってよ、あやち。」

「う~ん、どうしよう…」

これも青柳先輩に自分の彼女だって言えって焚き付けてくれてるんだよね…

「あれ?困っちゃうのか、断って良いんだよ?」

「あやち断れ、ふっちゃえ。困るくらいなら、きっぱり断ったほうが良いよ。」

青柳先輩を見たけど目を逸らされた、もう、いいや…あの人はダメなんだな。

「分かりました。でも、本当に私なんかで良いんですか?」

猫飼先輩は本当にわたしを彼女にする気があるのかな?

「私なんかって言うな、あやちが良いんだよ。」

「チビで胸もないですよ?」

「それって自分で決められることじゃないでしょ?」

「まあ、そうですけど。」

「俺はあやちが楽しそうに笑って、しゃべってるの見て、良いなって思ったんだ。あやちは、あやちが思っている以上に魅力的だよ。」

「ありがとうございます。少しだけ自身が持てそうです。猫飼先輩、彼女にしてください。」

後で青柳先輩を煽るつもりだったって言われたらどうしよう…

「先輩、綾ちゃんゲットおめー!!」

「猫飼先輩、おめ~!」

「綾ちゃん、おめでと~!」

周りの皆から祝福されると、猫飼先輩がわたしの腰に手を回して、抱き寄せられた。ちょっとびっくりしたけど先輩の目を見たら自然と笑顔になれた。視線を感じてそっちを見たら、青柳先輩がしょんぼりしてたけど、本当にどうでも良いと思えた。


「しぇんぱい~、ごちそーさまですたぁ!あちしはダーリンの処に帰りますー。」

「分かったけど、大丈夫か?ちゃんと帰れるか?」

「だいじょぶ~、これからあやちといちゃラブするんでそ?あちしも帰って構って貰うのー。」

えっ〜と…いきなりエッチな展開はないよね…?

「佐伯、頼んで良いか?」

「おっけーで~す。何時ものことだしね。」

「タクシー拾って帰れよ?」

猫飼先輩はそう言って一万円札を差し出した。

「ほんと、いつもありがとうですよ。猫飼先輩、綾ちゃん可愛がってあげてね。」

「おう、当たり前だろ?」

そう言った猫飼先輩はわたしの肩を抱いてくれる。

「「先輩、おやすみです。」」

「残りは泊まってくよな?」

「ボクは朝まで遊んでくよ。PS起動しておけ?」

「良いぞ、勝手に遊んでくれ。」

「うっし、あたしもやる。ヤギも混ざるだろ?」

「あっ、はい。」

「俺は少し寝る。」

「マジ寝になるなよ?」

「知らん。」

「私も寝て良いですか?」

「おけ、てっつんに抱っこして貰いな。」

「あっ…‥‥はい。」

やっぱり何かされちゃうかな?

「隣に布団用意してあるから、勝手に寝てくれ、んじゃ、おやす。」

襖を開けて隣の和室に入っていく。

「って、お前も隣で寝るんか!?」

「仮眠だし、上行くのメンドクセー。あやち、おいで。」

「はい~。」

頬が熱くなって、緩んでるのが自覚できた。

コメント

error: Content is protected !!