気付けば、予定していた時間をとうに過ぎていました。シャワーを浴びることなく、慌ただしく服を着てホテルを後にする私たち。今度は待ち合わせたときの逆に、まずは妻を駅前の公園に降ろします。
『いやあ、由美ちゃん、最高でしたね…(笑)』
アパートに大杉さんを送る車中、愉快そうにはしゃぐ大杉さんとは違い、私は暗く気だるい気持ちでした。
『ほんとですよね…』
言葉とは裏腹に、元気なく答える私。テンションのあがらない私を盛り上げるつもりなのか、大杉さんは話し続けます。
大杉さんをアパートに送った私は、大急ぎで妻の待つ駅に車を走らせます。自然と荒っぽくなる運転―私は平常心を失いかけていました。
――大杉さんに抱かれた妻は、いま“大杉さんのパートナー”になっている。
――それを“私のパートナー”に戻すにはもう一度、妻を抱かなければならない。
こんな感情はわかりにくいと思います。しかし、私の心の中には、早く妻を抱いて私のパートナーに戻さなければならないという、猛烈な衝動がありました。私はダッシュボードに転がっていた青い錠剤
―それは大杉さんからもらった「バッタもんのバイアグラ」―を飲み込みました。
駅で妻を車に迎え入れ、また車を走らせる私。再びラブホテルに車を停めました。部屋まで無言のまま妻を導く私。妻をベッドに押し倒すと、興奮をあらわにして強姦魔のように妻を犯しました。
まだ湿り気を帯びた妻の秘部、その湿り気は妻の愛液と大杉さんのクーパー腺液の混ざったもの。前戯もなく挿入する私。抵抗なく受け入れる妻の秘部。
抵抗がない!
大杉さんの巨根を咥えこんでいた妻のアソコ。長さ、太さ、そしておそらく硬さも、全てにおいて私のペニスに勝る大杉さんのペニスを咥えこんでいた妻の女陰は、拡張されて膣圧を失い、私のペニスに挿入感を与えてくれませんでした。私の中で渦巻く、妻を問い詰めたい衝動―
『なんで、生挿入を拒絶しなかったんだ?』
『そんなにあの巨根がよかったのか?』
『なんで、あんな脂ぎったハゲ頭を撫でられるんだ?』
『おれのペニスでは届かないところにお前の性感帯があるのか?』
『なんで、はじめて会った中年とあんな恋人のように舌を絡ませられるんだ?』
『なんで、おれとのセックスではローターがないとイケないんだ?』
『また大杉さんに抱かれたいと思ってるのか?』
『なんであんなドロドロに汚れたペニスを舐められるんだ?』
『おれとのセックスより気持ちよかったんだろ?』
『こんなガバガバになるまでアソコをかき回されて気持ちよかったんだろ?』
私の頭の中で『なんで?』という声が溢れかえって、ぐるぐると回転していました。けれど、つぎに私の口から出た言葉は、
『由美、愛してるよ、愛しているよ―』
『トシくん…うれしい!…私も愛してる…ぁん!』
こんなに自然に『愛してる』という言葉を使ったのは、どれくらいぶりでしょうか。
妻の髪からは大杉さんが吸っていたタバコの匂いがしました。また甦ってくる激しい嫉妬心。込み上げてくる三度目の射精感。挿入感は薄いものの、それをはるかに超える官能の興奮のなかで、私は妻の中に全ての精を放ちました。射精し終わってもしばらく抱き合い、舌を絡ませる二人。妻の子宮に子種が届くように、射精のあとも挿入したまま抱き合うのは、子供のほしい夫婦のいつもの営みです。結局この日は家に帰らず、なんども妻を抱きました。

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