投稿小説

美桜みおと千燁ちあきが夏休みを迎えて1週間ほど経った頃、小さなパーティが開かれた。秋鷹あきたかさん、美桜、靜流しずる、穂香ほのかと僕から「おめでとう」という言葉と共にプレゼントを渡される千燁が中心にいる。「皆さま、拙の為にありがとうございま...

僕は新居に荷物を運び込みながら、その広さに呆れ返っていた。前の家も広いと思っていたけど、これほどの部屋数、広さが必要なのだろうか？ しかも、用途不明で未だに工事中で立ち入りが出来ない区画まである。「えっと、美桜みお、僕に割り当てられた部屋が...

いつも通りに起床して、いつも通りに朝食を摂り、車に乗り込み出発する。隣には美桜みおさん、運転するのは秋鷹あきたかさん、そして向かう先は九護くごの館…「時期的には受験する高校の指定でしょうか？」「恐らく、そうでしょう。それ以外に呼び出される理...

風呂を出ると2人とも僕の寝室まで当然のようについて来る。「主様ぬしさま、今宵こよいも交合まぐわいましょう。」「今宵もって…毎日してるみたいな言い方は止めようよ。」「良いではありませんか、似たようなものです。さあ、致しましょう。」靜流しずるは...

あの日から4日後の昼過ぎ、来訪者を知らせるチャイムが鳴った。「はい。どのようなご用件でしょうか？」宅配業者とは思えない小さな人影に靜流が警戒気味に応対する。「はじめまして、『はくたいちあき』と申します。九純隼人くずみはやと様にお仕えするメイ...

先日の印象でははただ戸惑い、流されているだけだったのですが、通達の翌日に荷物が届くとは対応の早い一族なのですね。ひょっとしたら本日中にはご本人がいらっしゃるかもしれませんね。美桜みお様は『なるべく普通にお迎えしましょう。』と、おっしゃってい...

あの後、僕は両親に美桜みおさんと同じ学校に通っている子、もしくは同級生になる子を護衛兼メイドとして1人雇って欲しいと伝えた。条件的に楽ではないので確約は出来ない、と言われてしまった。そしてその夜…「主様ぬしさま…主様、まさか本当に眠ってしま...

美桜みお様たちと生活を共にするようになって3人の様子を見ていると、九護くご様の館に居るときと別人ではないかと思うほど笑顔が溢れていた。それは1ヶ月経っても3ヶ月経っても変わらず、演技ではなくこれが本当の姿なのだと分かり、僕も自然と笑顔になっ...

あれから2日後、昼過ぎに僕は指定された住所に辿り着き周囲を見渡す。先日、呼び出された九護くご様の館と比べると余りにも小さい。それなりの広さはあるけど、お屋敷というほどではなく、門から玄関が見える程度には普通の家だ。覚悟を決めて呼び鈴を押して...

僕は両親に連れられて、九護くご様の館に来ていた。僕たちは通された30畳ほどもある部屋で、ご当主である九護水咲くごみさき様の御なりを肌寒さの残る春色の中ずっと土下座で待ち続ける。ほんの2～3時間前まで家庭環境的は恵まれているけど、それ以外は普...